色のない世界で死神は少女を見つめる
モノクロの世界に、私は存在している。
冒頭部分より
私には「色」がわからない。そのもののぼんやりとした輪郭と、明暗ならわかる。
普段から色がどういうものなのか意識していないから、それを寂しいとも感じてはない。色鮮やかな世界を夢見たこともない。
モノクロの世界は、私に優しい。
それには理由がある。
私は、死神だ。死神は標的以外の色を認識しない。する必要がないからだ。モノクロの世界が優しいのは、本当は誰の命も奪いたくはないからに他ならない。私は異端である。
表紙イラスト:Picrew「愛しいあの子の横顔」 で作成させていただきました。