
現実と妄想、過去と現在の交錯。笑顔の裏に隠された何か。
あらすじ
それまで攻めることしか知らなかった尚志は、「君が優しくなる為に」と言われ、兄の友人である男に抱かれた。
しかしある日姿を消した「初めての男」である雅宗が、3年後再び尚志の目の前に現れる。その時既に別の男と関係を築いていた彼は、非常に複雑な心境だった。
一方雅宗は、笑顔の裏に何かを隠していた。次第に現実と幻想の境界線が曖昧になってゆく。
『セルリアンブルー』の第三章と対になる作品。
BLの皮を被った、別の何か。病んでます。
ミステリーなのか、ホラーなのか、恋愛ものなのか…
掲載サイト
いただいたレビュー
★狭間、揺らぎの出し方が秀逸作品
───現実と妄想、過去と現在の狭間と揺らぎ
【物語は】
引用元:crazy’s7様 完全保存版♡おススメBL作品【レビューまとめ】
性に奔放で、過去関係のあった人から”本気になるな”といわれたことにより、一人に真っ直ぐな愛をぶつけることの出来ない美大生と、心に傷を抱え現実すら侵食されてしまった社会人との恋愛が、描かれている。美大生サイドが明るいのに対し、社会人サイドはまるでミステリー×ホラーを見ているようで、虜になる作品。
【まるでパレットの上の絵の具のように】
パッと視点が変わったと分かる作品ではないことが、逆にこの作品良さを引き出している。視点切り替えには、色んなタイプのものがある。例えば、タイトルで分かるようにするものや、あえてSideと表記するモノなど。この作品は、境界が曖昧な部分があり、ページの中で突然別視点が入る。通常なら、これは分かり辛いという感覚を産むはずだが、この作品に居たっては、まるで絵の具が混ざりあうかのようなイメージがし、良い効果となって作用している。
【狭間と揺らぎ、物語の構成】
社会人の彼は、ある過去と闇を抱えているのだが、単にそれがどんな理由からかを率直に書いていたならば、こんなに狭間と揺らぎは出せない。才能のなせる業である。どちらがどちらなのか。夢なのか現実なのか。妄想の産物なのか。真相が明らかになっていくまで、サスペンスのようなハラハラ感に虜になる。
それに対しに、美大生の彼は欲望優先の生き方をしており、キッチリと現実のみという印象がある。これは絵に例えるなら、輪郭とその内側といった関係か。彼がいることにより、社会人の彼と同様、読み手も現実に引き戻される。この不思議な揺らぎと狭間が、魅力的であり物語にぐっと惹きつける効果も担っているのではないかと思われる。
【答えを出せた側と出せなかった側】
主人公である二人は、とても対照的である。もちろん似ている部分もあるが。
心が成長していながらも、下半身がどうにも緩いままの美大生。どんなに嫉妬をしたとしても、自分だけのモノに出来ないことを分かっていながら、自分を救えるのは彼しかいないと感じている、社会人の彼。何処か諦めている部分があるからこそ、魅力的であり、萌えがある。手放せないけれど、所詮は思い通りにはならないし、欲しいものも与えられない。そして、相手に確かめることすらできない。一度は手を差し伸べられるが、望みを告げたところで自分を選んでは貰えなかったが、いつかそれを望んだ理由に、美大生が気づく時、そこが二人にとってのスタート地点なのかもしれない。
社会人の彼にとてつもなく萌える作品です。ゆっくりと明らかになっていく真実からも目が離せません。是非、お手に取られてみてくださいね。おススメです
眠れない夢のような現実、そこに差す光
インソムニアとは不眠症という意味ですが、この物語は過去と現在、現実と非現実が絶妙に混ざり合って展開していきます。
引用元:光乃えみり様 エブリスタ
不眠症とは、心に抱える悩みから起こるもの。彼を苦しませるものは何なのか? そしてそれは現実なのか、それとも己の妄想なのか?
このようなモチーフを扱うと内容が重く虚ろになりがちだと思いますが、このお話はその辺りの匙加減がとても巧く、読み手にストレスを与えないように描かれています。
その内のひとつは、神社が登場すること。それにより、もしかしたら霊的な何かなのか? ということが示唆される。妄想か現実か、という二択ではなく、三つ目の可能性。そして神社は登場人物との意外な関連性もあり、物語の幅を広げると共に夢と現実の橋渡しのような役目も果たしています。
そしてもうひとつは、登場人物の魅力。心の闇を抱えた彼とは対照的な年下の美大生は、自分の欲望に正直で、思考もシンプル。共に悪夢に絡めとられてしまうこともなく、人間的に未成熟な部分がありながらもしっかりと自らの人生を生きている。この対比が物語の中の大きな救いとなっています。
面白いなと思ったのが、美大生の尚志は恋に一途なタイプではないということ。好きな相手がいても、別の誰かと体の関係を持つことに抵抗がない。 これは恋愛においてはマイナスポイントかもしれませんが、見方によっては愛と性欲は別物であることが描かれているともとれます。尚志は性にはだらしない反面、優しく人を受け入れる度量がある。それこそが彼の魅力であり、このお話を動かす重要なポイントになっています。
次第に明かされていく真実、その情報の見せ方も非常に巧みな構成となっております。魅力的な彼らと一緒にその答えを探し、その真実を確かめてみて下さいね。
